床冷房は単体では使えないし、そもそもリフォームには向かない

床暖房はよく知れ渡っていますが、あまり聞かない床冷房というものがあります。床暖房はチューブに温水を流して温度を上げますが、床冷房は冷水を流して温度を下げます。床暖房との大きな相違点は、床冷房システムだけでは現実的に使用できないということです。冷房システムだけの運転の場合、床下は冷えて室内は湿度が高いため、床下に結露が発生してしまい、システム自体が腐食してしまう可能性があることと、足元だけが冷えてしまうと快適ではないという問題点があります。これを解決するために、デシカント空調システムとサーキュレーターの導入が必要です。この2点は、新築時や建て替え時でないと導入しにくいのでリフォームには適していないです。

床冷房システムとは?

あまり聞きなれないですが、床冷房というものがあります。

床暖房に冷房機能がついているシステムです。

冬は床暖房として機能して、夏は床冷房として機能します。

ヒートポンプを利用して、床チューブに冷水を流す仕組みになっています。

床暖房はチューブに温水を流して温かくする仕組みですので、その逆です。

床冷房の問題点「結露」

ところが、床冷房には問題点が2点あります。

一つ目は「結露の問題」です。

夏期の高湿度環境で床冷房を使って床面に冷水を流すと、その表面だけではなく、床内部に結露を発生させてしまいます。

そして、その結露は長期の使用で徐々に床や構造材を腐食させる可能性が出てしまいます。

そのため、床冷房自体は簡単に実現できても、それを行ってしまうことは住宅そのものの耐久性に問題を引き起こしてしまうリスクが否定できないのです。

デシカント空調システムが結露を解決してくれる

そこで、床冷房の導入にあたっては、デシカント空調システムが必須です。

デシカント空調システムとは、夏は除湿機として働き室内の湿度を除去し、冬は室内の湿度を維持するように稼働させることができる空調システムです。

*デシカント空調システムは加湿器機能はなく、冬は保温するという機能です。

デシカント換気システムを導入することで夏期の室内湿度を一定に維持することで、床冷房に冷水を流しても結露しない環境ができます。

床冷房の問題点「足元だけが冷えてしまう」

2つ目は「足元だけが冷える」という問題です。

通常、暖かい空気は上に向かい、冷たい空気は重たいため下に滞留してしまいます。

ですので、床冷房は足元だけが冷えてしまい快適ではないということが問題です。

「足元だけが冷えてしまう」は天井埋め込みサーキュレーターで解決

その解決策として天井埋め込み型のサーキュレーターの設置が有効的です。

天井埋め込みにする理由は、各部屋の床にサーキュレーターが置いてあったら邪魔だからです。

サーキュレーターを運転させることによって、床部分に滞留した冷たい空気を攪拌して、足元だけが冷えるという問題をクリアできるのです。

床冷房だけでは快適ではない

床冷房を現実的に機能させるためには、単に床冷房だけ導入すれば良いというわけではないのです。

この点が床暖房との大きな違いです。

床冷房+デシカント空調システム+天井埋め込みサーキュレーターの組み合わせが必要

床冷房+デシカント空調システム+天井埋め込みサーキュレーターを組み合わせることによって床冷房として機能します。

デシカント空調システムは天井内にダクトを配管します。

各部屋に配管されるので、天井全体に配管が張り巡らされるようになります。

新築時は、配管した後に天井下地を組んで仕上げていくので綺麗に配管は隠ぺいされます。

これをリフォームでしようとすると、天井をほとんど解体することになりますので、当然人が住んでいられる状態ではなくなります。

仮住まいをしてもらって、家の荷物も移動してほぼほぼスケルトン状態の工事が必要になります。

このことを踏まえると床冷房は新築時に導入するシステムであり後ずけは現実的ではないということが言えます。

デシカント空調システムの効果が大きい

デシカント空調システムを導入することで夏場にしっかりと除湿が行われるようになり、結果として室内の温度を多少高く設定しても快適な環境を作り出すことができるようになります。

例えば室内温度が27度で湿度が80%の場合はかなり蒸し蒸しして暑苦しく感じますが、同じ27度で湿度が50%の場合は快適に感じます。

(床冷房の補助的な機能のデシカント空調システムですが、床冷房機能よりデシカント空調システムの方が重宝する気がします。)

通常の戸建てにデシカント空調システムを導入する費用は100万円程度です。

一条工務店の「全館さらぽかシステム」

床暖房でも有名な一条工務店の「全館さらぽかシステム」が床冷房で最も良いように感じました。

床冷房+デシカント空調システム+天井埋め込みサーキュレーターを完全に実現できているそうです。

開発期間5年間、モニター利用で試行錯誤してできたシステムだそうです。

「全館さらぽかシステム」の導入費用は坪2万円前後ということなので、30坪の家は約60万円ということになります。

夏も冬も快適に過ごすことができてこの金額なら、長い期間で見るとかなりお得かと思います。

ただし、導入できる家庭は、一条工務店で新築することが条件だそうですので、後ずけリフォームには今のところ対応していないようです。

リフォームでも可能な床暖房のご紹介


PAGE TOP