部屋の防音工事を本格的に施工すると高額になりますが、ドアと窓の防音工事をするだけでも十分な効果が期待できます。なぜなら、音はドアや窓の隙間から入り込んでくるからです。本格的な防音効果のある部屋を作る場合でも、天井や壁だけではなくドアや窓も防音仕様にすることがポイントになります。この効果を幼稚園のスタッフルームで実証することができました。
当社へ毎年工事をご依頼いただいている保育園があります。
工事の内容としては、壁紙の張替えや、園児がクロスを破いたり傷つけてしまうところには腰壁シートの施工、また、棚の造作など色々とご依頼いただいてます。
そして、今回のご依頼は防音工事でした。
目次
園児たちの元気な声が筒抜けの先生室
先生たちのスタッフルームの横に、園児が遊ぶプレイルームが併設されており、間仕切り壁と引き戸で区切られています。
園児たちの遊ぶ時間になると、スタッフルーム内がかなりうるさくなってしまうと前からお悩みされていたようです。
そこで今回は、引き戸を防音ドアに変更する簡易防音工事をご提案させていただきました。
防音工事を本格的に施工する場合は、天井は吸音ボードで施工、壁の中にグラスウールと遮音シートを挿入、床はグラスウールを充填した乾式の二重床にする、ドアは重量のあるスチール製の防音ドアに交換したりといった本格的な工事になります。
当然、工期も長くなり工事費用も高額になります。
もちろん、ここまでしっかり施工すると、気密空間の防音室ができます。
ただ、今回のケースように、園児の高音の声がダイレクトにスタッフルームに響くのを軽減したいという程度のご要望であればそこまで本格的な工事は必要ないのです。
音の伝わりを防止するためには、壁よりもドアと窓をしっかり防音仕様にすることが大事
音は壁からも伝わってきますが、うるさく感じるのはドアや窓から入り込んでくる音の方が影響が大きいです。
そういう意味では、壁だけ防音仕様にしても、ドアや窓を防音にしないとほとんど変わらないと言えます。
写真のように引き戸の場合、ドアと枠との隙間が開き戸よりも大きいため、声が筒抜けになりやすいです。
保育園の先生からは、引き戸の方が開放したままにできるから使い勝手が良いと引き戸をご希望いただきました。
ただ、引き戸タイプの防音ドアというものはありません。(遮音効果のある音配慮ドアならある)
そこで、今回は開き戸の室内防音ドアへ変更する工事をご提案させていただきました。
この開き戸であれば、解放したままにしたい場合は、ドアストッパーを設置すればいいので、開放したいという要望は解決しました。
ドア交換の工事手順
ドア交換の工事手順ですが、まず元の引き戸を外して、引き戸の枠を解体します。
そして、新たに設置する防音ドアの枠を設置して、ドアを吊り込みします。
ドア交換によって、新しい防音ドアの左は壁がないので、新規壁増作をして、今回はコルク長のクッションフロアーを貼って工事完了です。
今回使用した室内防音ドア
今回の防音ドアは、ダイケンの木製防音ドアを使用しました。
かなり重く重量があります。
ダイケン防音ドア アドバンス(A)防音タイプ 仕様
防音性能数値
基材 |
[扉]MDF [枠・見切]MDF(枠芯材は合板) |
表面 |
[扉]ポリサンドシート [枠・見切]オレフィンシート、沓摺は集成材塗装仕上げ |
構造 |
[扉]グラスウール等を使用した鉄芯入り特殊フラッシュ構造 |
重量 |
755幅:47kg/(扉・枠)、780幅:48kg/(扉・枠) |
レバーハンドル |
亜鉛合金レバーハンドル、間仕切錠付 |
ロック |
1点ロックグレモン錠 |
丁番 |
3次元調整丁番 |
パッキン |
大型気密パッキン |
壁厚対応 |
131~202㎜対応 |
ホルムアルデヒド規制 |
F☆☆☆☆ 住宅部品表示ガイドライン |
完成してドアを閉めてみると、かなりしっかりとした気密空間になりました。
部屋がシーンとして、自分の声が反響する感じでした。
保育園が休みの工事でしたので、あいにく実際の園児がいる場面での防音効果を感じることはできませんでした。
後日、効果のほどと問題がないかをご確認させていただきましたところ、かなり声が軽減されて快適だと喜んでいただきました。
もちろん、楽器などの演奏の場合などの防音についてはもっと本格的な防音工事が必要です。
ただ、今回のように、子供が騒ぐ声や生活音の防音であれは、ドアを変えるだけの簡易的な防音工事だけでもかなりの防音効果が期待できます。
防音した部屋に窓がある場合
今回の幼稚園の場合は、対象がドアだけでしたが、部屋に窓がある場合は窓を防音する必要があります。
窓の防音の場合は、二重サッシ(内窓)をつけると良いです。
二重サッシ(内窓)とは、今ついている窓の内側にさらに窓を追加する工事です。
二重サッシの施工による効果は、防音効果だけではなく、気密性が向上します。
そのため、冷暖房の効きが良くなり、節電効果になったり、窓周りの結露を防いでくれる効果もあります。