照明器具の選定や配置を決めることをライティングデザインといいます。店舗内装において、このライティングデザインを軽視してしまうクライアント様が多いです。お店を素敵に演出したり、居心地のいい空間に仕上げるためには、ライティングにこそこだわる必要があります。
目次
ライティングですべての内装が引き立つ
少し極端な表現をすると、ライティングが良いと全て良くなると言えます。
現場では、内装だったり置いてある家具に、ライティングで最後の仕上げをするイメージになります。
ところが、このライティングがお粗末ですと、せっかく綺麗に仕上げた内装や家具も色褪せてしまうように思います。
店舗の内装工事で工事終盤に家具を搬入して、それとほぼ同じに照明器具を取り付けることが多いです。
照明がついた瞬間にお店は息を吹き込まれたように、見た目がそれまでの空間からガラッとイメージが変わる経験を毎回しています。
つくづく、ライティングの重要性に気付かされます。
なぜライティングが軽視されるのか?
店舗を開業するためには内装工事費用の他に、物件を契約する費用や、商品の仕入れの費用、人件費、宣伝費、運営費など必要な経費がたくさん必要になります。
ですので、限られた予算の中で店舗の内装工事は行う必要があり、どこかで費用を削る必要がある場合もあります。
そして、その際に、照明器具の値段をなるべく安いものに変更したり、個数を減らすということが多々あります。
照明器具は安くないため、中国製の安価なものに変更すると予算を削減できる項目なのです。
安い照明でも、一応店舗内は明るくはなりますし、問題なく運営できてしまいます。
これが、照明の予算を抑える傾向にある理由だと思います。
照明器具は奥が深い
スポットライトを例にしますと、同じスポットライトでもそのスポットライトが放つ光は狭角なのか広角なのか、照度はどれくらいなのか、グレアレスなのかグレアレスではないのかなど器具によって違います。
このことが分かるだけで、照明は明るければいいという考えはなくなると思います。
また、照明は空間を明るくすると同時に影も作ります。
どの方向から照らすと影ができるのか、影を作らないためにはどのように照明を配置するべきかなどの配慮も必要です。
*グレアについて
視野内に過度に輝度の高い点や、面が見えることによって起こる障害をグレアとよび、これは不快感、目の疲労、見え方の低下などをひき起こします。
グレアには二つの形があります。
第一は減能グレアまたは不能グレア(disability glare)といわれ、ものをはっきり見る能力を低下させるグレアです。屋内照明では、あってはならないものです。
第二は不快グレア(discomfort glare)で、ある部屋に長くいた場合に不快感として経験されるもので、屋内照明では解決すべき課題です。
いまいちだったライティングの経験
以前、美容室の内装工事をさせて頂きました。
予算が限られていたため、照明器具はクライアント様がAmazonで購入したものを取り付けることになったのですが、届いたライトは狭角のスポットライトで照度も低く、グレアレスでない為、照明器具を見ると不快な眩しさがありました。
6個で3000円程度で破格の安さです。
まともなスポットライトは最低でも1個5000円(入値)程度はします。
個数を増やしても明るくなるわけでもなく、影もかなりできてしまいました。
影を消すために、あらゆる角度からフォーカシングしてなんとか開店できるまでにはなりましたが、ぼやっとしたイメージの美容室になってしましました。
クライアント様にも、後々にライティングはやり直す提案をさせて頂きました。
正直、ライティングが変わるとお店の印象の良さは格段に上がると思いましたし、新規の顧客獲得にも貢献するはずです。
お店が提供するサービスも大事ですが、それと同じくらいに外からの見た目も重要です。
「ここのお店って素敵だな」とか、「入ってみたいな」など、人を惹きつける要素がとても大事だと思います。
私も街を歩いていて、そのようなお店を見ると実際に入ってみたり、時間がない時は「今度行ってみよう」と思います。
予算が取れる場合はライティングデザイナーに照明計画をしてもらう
空間を照明を演出する専門職のライティングデザイナーがいます。
照明だけを担当するスペシャリストなデザイナーです。
照明器具に詳しいだけではなく、色彩の知識、目の構造や視覚的な心理、照度の計算など、様々な知識を持っていますので、予算がある場合はライティングデザイナーに照明計画してもらうのおすすめです。