壁を珪藻土にすると、湿気を取ってくれる効果が高いだけでなく多くのメリットがある。ただ、施工費が壁紙に比べると高いのが問題。珪藻土壁紙というのがあるが、名前に珪藻土が付いているだけで性能やその取り扱いの悪さからオススメできない。壁紙であれば、珪藻土に近い性能を持った”吸放湿壁紙”というのがあるのでそちらが断然オススメ。
珪藻土とは
珪藻土というのは、藻類の一種である珪藻の殻の化石よりなる堆積物(堆積岩)で、調湿性に優れています。
家屋でしたら壁などに施工すると湿気取りの役割になります。
水分を吸収する効果が高いため、結露も起きにくくなりますし、カビも生えにくくなるという効果もあります。
体に悪影響をあたえるホルムアルデヒドは珪藻土が吸収してくれますし、珪藻土の中で分解されるので、また外へ排出されることはありません。
そのため、化学物質過敏症やアレルギーなどの症状も軽減させてくれる効果があります。
珪藻土は色々な部屋の中の悪臭を吸い取ってくれる効果があるので、部屋の中にタバコやペットのニオイがたまるようなことがありません。
この工事は左官屋さんの作業となるのですが、手間もかかる分、それなりの施工金額になってしまいます。
6畳の壁の施工金額の相場は10万円から15万円となっているようです。
高いですね・・・
クロスなら28,000円から45,000円です。(グレードによります)
珪藻土クロス
ところで、壁紙で珪藻土クロスというのがあります。
ただ、この珪藻土クロスは、内装屋の私はオススメしません。
なぜかと言いますと、珪藻土クロスというのは壁紙の表面層に珪藻土が吹き付けてあるだけですので、本物の珪藻土と比べ物にもなりませんし、そこまでの調湿性には優れてはいないと思います。
気休め程度だと思ってます。
しかも、施工する側からの意見としては、施工性が悪く、気をつけて施工しても仕上がりも微妙な困った素材です。
更に、補修もできない壁紙なのでかなり扱いとしてはかなりデリケートになります。
そのため、私が実際ご依頼いただくときは「仕上がり良くないですし、補修もできないです。」とはっきりお伝えしています。
それでも珪藻土を諦めきれない方もいらっしゃると思います。
実は、こんな面倒な壁紙を使うよりも、今はもっと機能性に富んだ壁紙があるのです。
吸放湿壁紙
それは「吸放湿壁紙」といいます。
湿気の多い日本の気候にちょうどいい、湿度を調整してくれる快適な壁紙です。
吸放湿壁紙の特徴をあげてみます。
吸放湿[ホコリがつきにくい]
紙おむつにも使われている親水性高分子ポリマーの働きにより湿気を吸収、結露やカビの発生を抑える効果があります。
乾燥時には、水分を放出し室内の湿度を調整します。
室内とほぼ同じ湿気で壁紙自体も保たれるため、静電気が発生しにくく、ホコリや汚れがつきにくい特長があります。
通気性[結露・カビの発生を抑える]
壁紙自体が透湿性の高い構造になっているので、壁を通して湿気を排出、結露やカビの発生を抑える効果があります。
石膏ボードと組み合わせて使用すると、調湿やホルムアルデヒド低減などにより効果的です。
珪藻土[消臭効果]
昔から壁材として利用されてきた珪藻土は調湿性に優れ、夏は湿気を吸い、冬は水分を放出して乾燥をやわらげます。
石膏ボードとの組合せにより、結露が発生しにくくなります。ニオイの成分を吸着する消臭効果もあります。
吸放湿の試験データ
試験項目 吸放湿性能試験(吸放湿曲線)
試験条件 裏と側面をアルミテープで密閉し吸湿を防止した壁紙を使用。
30℃×40%の状態で12時間調湿しそこから30℃×90%に変更して吸湿試験を開始する。
7時間目まで吸湿をして、今度は30℃×40%に変更し、放湿試験を開始する。
吸湿から放湿までの測定量を一般ビニール壁紙と比較する。
試験項目 透湿度試験
試験方法 JIS Z 0208 B 法に準拠
試験条件 温度40℃、湿度90%の状況下で24時間にどれだけの湿気(水蒸気)が通過したかを測定。
塩ビ面を上にして3回測定し、平均値を算出。
試験結果
透湿度 (g/㎡・24h)
吸放湿壁紙 平均値 769
一般ビニール壁紙 平均値 163
※各試験結果は実測値です。保証値ではありません。
上のデータの通り、吸放湿性能は、一般ビニール壁紙に比べて断然優れています。
よく北側のお部屋でカビが発生してしまうので、いい壁紙はないですか?というお問い合わせをいただくので、私はその場合、吸放湿壁紙をおすすめしています。
ただ、私自身使ったこともないですし、施工後の感想もお伺いしてないので(カビは長期後に発生するため)保証はできません。
それでも、メーカーの試験データがありますので間違いはないと思います。
結論として、珪藻土壁紙を選ぶくらいでしたら、吸放湿壁紙をおすすめします。