先日目にした、リフォーム屋の営業をやっていると名乗る方が書いたブログの記事が興味深かったです。
以下、記事の内容です。
『リフォーム業の仕組み』が、よく誤解されているのですが、リフォーム屋さんのお仕事は、
「お客様の住まいの修繕工事をする仕事」ではありません。
「修繕工事の手間を計算して、」
↓
「お客様と下請職人を仲介する仕事」
「お客様と一緒に住設機器を選ぶ仕事」
であるといっていいでしょう。
他所の業界と同じですね。中抜きしてるんです。
では、皆さんがリフォームを検討する場合、職人に直接声をかければ安くなるのでしょうか。
確かにその通りなのですが、職人に関する知識がないと結構めんどくさいと思います。
建築職人は、自身の職能分野、かつ、指示された内容の工事しかしません。
大工さんがペンキを塗ったり、電気工事屋が水栓を取り替えたりすることはまずありません。
専門分野外ゆえの技術不足も理由ですが、それよりも「他人の仕事(=専門)を奪わない」という前提ルールが職人の世界にあるためです。
例えば、水道職人にトイレのリフォームを直接お願いしたとします。
皆さんは、TOTOのHPを見て既設トイレの型番を特定し、楽天でリフォームトイレを買ったとしましょう。
ショップが親切でリフォーム用の配管アダプターもついてきました。
さて工事当日、水道屋さんがやることは、あくまでトイレを外して、付けるだけです。
工事中に、新築当初から使われていた排水管に問題が判明したとしても、職人は直しません。
指示をされてない仕事を勝手にやることはルール違反です。
また、床の痛みもクロスの黒ずみに気づいても教えてくれすらしません。彼らの専門外です。
まあ人が良い水道屋さんなら施主に教えてくれて、知り合いの大工さんを呼んでくれるかもしれません。
でもそれって、リフォーム屋さんとやってることは同じですよね。
ブログの内容はこんな感じでした。
このブログを書いた営業マンの言いたいことは、
・一般の方がリフォームを職人に直接声をかければ確かに安くはなるだろうが、職人という人たちについて知らないと結構面倒くさいことになるよ。
・その理由として、職人の世界は、職種ごとに役割分担されているため他人の分野には手を出さず、何か不具合があったり手を加えるべき箇所を見つけても見て見ぬ振りをするから
ということのようです。
さて、このブログに対して私の見解を書きたいと思います。
『確かにその通り』!!・・・という職人さんが多いのも事実です。
ただこれは、その職人の性格と責任感とお客様に対する思いやりがあるかないかなどで全く変わってきます。
私は職人で、職人仲間が大勢おり、いろいろなタイプの職人がいます。
その中でも、気さくでお客様や職人仲間のことを大事にして現場の施工状況、進み具合まで細かく気にかける職人さんはお客様ともスムーズに会話ができ気持ちのいい仕事をします。
こういう職人は、お客様にプラスαの気遣いが出来てとても喜ばれます。
こういったタイプとは対照的に、無愛想で最低限の仕事しかやらない職人さんもいます。
この「最低限の仕事しかやらない」という姿勢が、ブログを書いた営業マンの言うところの「気付いていても教えてくれない」という行動に当てはまるのでしょう。
まあ、確かにこの手の職人は多いですが、私の仲間には前者のタイプの職人が多いです。
その理由は、私が後者のような思いやりのない対応をする人が嫌いなので、そういう職人とは(職人に限らず)あまり絡まなくなって疎遠になっていくからです。
『信頼できる職人としか仕事をしない』を続けてきた結果そうなったのです。
これは自分の分野(内装工事)だけではなく、大工さん、電気屋さん、設備屋さん、クリーニング屋さんなどなど・・・全職種の職人さんとそのような付き合いをしてきたわけです。
ましてや、私は個人のお客様から直接依頼していただくことが大半ですので、その際は元請の立場でお仕事を受けています。
このような立場になれば、当たり前ですが自分だけの仕事をやっていれば済む訳がありません。
例えば、私の現場に入ってもらった他の職種の職人さんが、お客様宅で養生もせずに工事を始めたらストップさせます。
養生から始める指示を出して、当然私も作業に加わります。
このことは、養生だけの話ではなく、現場作業の全般においてお客様のご要望だけでなく気付かれない部分についても細かい仕事ができるかどうかです。
これは、毎日現場をこなしている職人だからこそ持っている知識であり、そして職人だから故にそれを現場で役立たせることができます。
私は『錦織の現場はうるさい』と職人仲間に思われるくらいでちょうどいいと思っています。
そうでないとお客様目線の工事にはならないからです。
過去、面白くない顔をする職人もいましたが、そのような職人さんには私の現場に入ってもらわなければいいのでそのようにしています。
この姿勢を徹底してきたので、おかげさまで今はいい職人グループが出来ています。
内装仲間はもちろん、大工さん、建具屋さん、電気屋さん、設備屋さん、シート屋さん、完全にお客様目線の職人さんが揃いました。
『本当にみなさんいい職人さんばっかりだね』とお客様に言って頂けることが何より自慢できることでもあります。
はっきり言って私の職人チームに、リフォーム屋さんの中抜き営業はいらないです(笑)